« 今日のお昼 | トップページ | 保存と印刷 »

連れて行ってやるから

コネタマ参加中: 線香花火のような、はかなく切ない思い出募集

 あれはまだ、中学生だったかな。カレが家族で旅行に行ってきたのかな。行った先は立山と黒部ダム。それはそれは壮大な、美しい景色だったらしい。

 その美しい景色に感動したカレは私に言った。

 「二十歳になったら、絶対に連れて行くよ。感動するよ」と。

 中学生だった私たちにとって、20歳と言えばすごく大人に思っていた。そして、その大人になるまでにまだ長い時間がかかるなんて、考えても居なかった。きっと、ずっと一緒に居られるものだと思っていたんだと思う。

 会う場所はたいていどちらかの家だった私は、カレのその珍しい発言に、すごく驚いたし、うれしかった。二十歳になったら、必ず連れて行ってもらえるものだと思っていた。中学生では、一緒に行ける範囲なんてすごく限られていたんだと思う。

 時間というものは、残酷で、二十歳になったとき、黒部ダムに行くことはなかった。

 今でも、広告で「立山・黒部」と書かれたものを見ると思い出す。ずっと先の約束をしてもらったときのあのうれしさを。それと同時に、叶わなかった悲しさを。

|

« 今日のお昼 | トップページ | 保存と印刷 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73450/46085169

この記事へのトラックバック一覧です: 連れて行ってやるから:

« 今日のお昼 | トップページ | 保存と印刷 »